労務・制度

小さな建設会社の電子契約サービスの選び方|導入費用の見方と、契約前に聞く5つの質問

公開:2026年10月31日

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この記事の結論

  • 費用は「月額」「初期費用」「件数・人数の上限」「超えたときの料金」の4つを見る
  • 聞くのは、署名の方式・タイムスタンプ・二要素認証・保存と検索・解約後のデータの5つ
  • 答えは口頭でなくメールなど文書で残す
  • まず1社・1種類の契約で試してから広げる

公式情報の確認日:2026年10月31日

目次(7項目)
  1. 費用の見方:4つの欄を埋める
  2. 契約前に聞く5つの質問
  3. 規模別の考え方
  4. 1社1種類で試す手順
  5. よくある質問
  6. まとめ
  7. 出典

電子契約サービスは数が多く、料金表を見ても「うちの規模でいくらかかるのか」が分かりにくいものです。しかも建設業では、サービスが法令の基準を満たしているかを、使う側が確かめる必要があります。

結論から言うと、見るのは次の2つです。

  • 費用:月額だけでなく、初期費用・送れる件数や人数の上限・超えたときの料金まで見る
  • 機能:建設業法のガイドラインの3つの基準(見読性・原本性・本人性)に関わる5点を、契約前に販売元へ質問する

この記事は、ランキングではありません。どのサービスでも使える「質問票」として書いています。法令の根拠や承諾書の作り方は、親の記事 建設会社の電子契約の始め方 にまとめてあります。

費用の見方:4つの欄を埋める

料金ページで見るのは、次の4つです。申し込み前に、サービスごとにこの表を埋めてみてください。

見る欄 確認すること
月額(または年額) 契約を「結べる」プランはどこからか。保管だけのプランと混同しない
初期費用 0円か。設定やテンプレート作成の代行は別料金か
件数・人数の上限 月の送信件数、使えるユーザー数、保存できる件数
上限を超えたとき 追加料金か、上のプランに上げるか

もう1つ、相手方(下請・元請)に費用がかかるかも聞いておきます。署名する側の費用の扱いはサービスごとに違うため、必ず確認してください。KANBEI SIGN で署名する側(受け取る側)の費用は、サービスページに書かれていないため、販売元に確認してください。

料金の例:KANBEI SIGN

例として、株式会社Wiz の KANBEI SIGN の料金を載せます。以下は2026年10月24日にサービスページで確認したものです(税込、初期費用は無料)。2026年10月31日にもサービスページで同じ料金(月額0円・2,200円・5,500円・22,000円、初期費用無料)であることを確認しました。

プラン 月額 年額に直すと 主な中身
フリー 0円 0円 契約書の保管・管理まで
スターター 2,200円 26,400円 契約の締結ができる
ライト 5,500円 66,000円 ―
スタンダード 22,000円 264,000円 ―

「契約の締結」ができるのはスターター以上です。フリープランだけでは、契約を結ぶことはできません。送信件数やユーザー数の上限、超えたときの扱い、プランごとの機能の違いは、販売元に確認してください。

1件あたりに直して考える

月額は、契約の件数で割ると感覚がつかめます。計算式は次のとおりです。

年額 ÷ 年間の契約件数 = 1件あたりの費用

たとえば、スタータープラン(年額26,400円)で年間に注文書・請書を60件やり取りするなら、26,400 ÷ 60 = 440円です。件数は例で、自社の数字ではありません。自社の件数に置き換えて計算してください。

比べる相手は、紙の契約で使っていた費用です。収入印紙代・郵送代・印刷代・製本や保管の手間があります。電子契約のデータには印紙税がかからない点は、親の記事で説明しています。印紙の金額は契約の金額で変わります。

なお、人数や件数が少ない会社は、最初から上のプランを選ぶ必要はありません。まずは契約を結べる最も安いプランで、1社と試すのが現実的です。

契約前に聞く5つの質問

建設工事の請負契約を電子で結ぶときは、国土交通省のガイドライン(令和7年9月30日)が、見読性・原本性・本人性の3つの基準を求めています。この3つにサービスが合うかは、使う側が確かめるしかありません。ガイドラインには「どのサービスが条件を満たすか」は書かれていないためです。

契約前に販売元へ聞く5つの質問を縦に並べた図。1 署名の方式、2 タイムスタンプ、3 二要素認証、4 保存と検索、5 解約後のデータ

質問1:署名の方式は何か

電子署名には、サービスの運営会社が署名する「立会人型(事業者署名型)」と、契約する本人が電子証明書で署名する「当事者署名型」があります。

聞くのはこの1文です。

電子署名の方式は、立会人型ですか、当事者署名型ですか。

立会人型の場合、ガイドラインは「運営会社の意思が入る余地がなく、利用者の意思だけにもとづいて機械的に暗号化されることが担保されたサービスで、電子署名法の要件を満たすこと」を条件にしています。この点もあわせて聞きます。

KANBEI SIGN の署名の方式、二要素認証、電子帳簿保存法への対応、タイムスタンプの追加料金、解約後のデータの扱いは、サービスページには書かれていませんでした。以下の質問で、販売元に確かめてください。

質問2:タイムスタンプは付くか

タイムスタンプは、その時刻にそのデータがあり、その後に書き換えられていないことを証明する仕組みです。原本性の確保に使われます。

契約書ごとにタイムスタンプが付きますか。追加料金はかかりますか。

KANBEI SIGN は、サービスページでタイムスタンプの機能が確認できました(2026年10月24日)。追加料金の有無は、販売元に聞いてください。

質問3:二要素認証は使えるか

二要素認証は、パスワードに加えて、メールやスマホに届くコードなどでも本人を確かめる方法です。ガイドラインは、立会人型の本人性の確保に二要素認証などを使うことが望ましいとしています。

利用者のログインや署名のときに、二要素認証を使えますか。

KANBEI SIGN は、メール認証による署名とマイナンバーカードとのひも付けが確認できました。二要素認証の有無は、販売元に聞いてください。

質問4:保存と検索はできるか

電子契約のデータは、電子帳簿保存法の「電子取引」のデータとして、改ざん防止の措置と検索の機能を備えて保存する必要があります(検索は取引年月日・取引金額・取引先で、範囲指定や項目の組み合わせができること)。要件の全体は親の記事にあります。

電子帳簿保存法の改ざん防止と検索の要件に、サービスだけで対応できますか。

KANBEI SIGN は、契約書名・契約終了日・取引金額などでの絞り込み検索が確認できました。ただし、電子帳簿保存法の要件(日付・金額の範囲指定、複数項目の組み合わせ検索)を満たすかは、販売元に聞いてください。

また、ガイドラインは、契約が成立したら自社の端末にもデータを保存することが望ましいとしています。サービスから PDF をダウンロードして、自社のフォルダにも置く運用を前提に考えてください。

質問5:解約したら、契約データはどうなるか

解約後のデータの扱いも大切です。契約書は、工事が終わってからも保存し続けます。サービスをやめたとき、データを取り出せなければ困ります。

解約後も、契約書のデータを PDF などで取り出せますか。いつまで保管されますか。

聞くときは、次の3点を確認します。

  • 解約の前に、全件をまとめてダウンロードできるか
  • 解約後に、データが削除されるまでの期間はあるか
  • 無料のフリープランに下げたあとも、保管と閲覧は続けられるか

KANBEI SIGN の解約後のデータの扱いは、利用規約と販売元の回答で確かめてください。

答えは文書で残す

5つの質問の答えは、電話ではなくメールなど文書でもらってください。あとで「話が違う」となったとき、確認できる記録になります。さらに、相手方に送る承諾書へサービス名・ファイル形式・署名の形式を書くときにも、この答えをそのまま使えます。

規模別の考え方

会社の人数や契約の件数で、選び方は少し変わります。人数や件数ごとに「このプランが合う」と言い切れる公式の情報はないため、考え方だけ書きます。

状況 見るところ
契約を電子で結ぶなら、スターター以上のプランが必要です(フリープランは保管・閲覧のみ) 保管だけで足りるか、締結まで電子でするか。締結するなら、最も安い締結可能プランから
契約は年に数件。社長か総務の1人が扱う 保管のみの無料プランでも足りるか。まず締結ができる最も安いプランで試す
下請との注文書・請書が毎月ある 件数の上限と、超えたときの料金。現場の担当者にも操作させるなら、ユーザー数
元請・下請の両方と契約する 相手方の指定するサービスが決まっている場合がある。自社で入れるサービスと別に、相手方のサービスにも署名できるようにしておく

1つ目の行は、保管・管理だけで済むかも見てください。紙の契約書をスキャンして保管したい会社は、フリープランが合うことがあります(ただし、これは契約を電子で結ぶ使い方ではありません)。

1社1種類で試す手順

選んだサービスは、いきなり全部の契約に使わず、次の順に試します。

  1. 対象を1種類に絞る:取引の多い下請との注文書・請書など
  2. 5つの質問を販売元に送り、答えをメールで受け取る
  3. 相手方に承諾書を送り、書面かメールで承諾をもらう
  4. 1社と、実際の契約を1件結ぶ
  5. 契約が成立したら、PDF を自社のフォルダにも保存し、検索できるか確かめる
  6. 3か月ほど使って、件数・手間・費用を見直し、続けるか広げるかを決める

相手方が「紙がいい」と言ったら、その相手とは紙で結びます。承諾は相手方の判断で、あとで撤回もできます(建設業法施行令5条の5)。

サービスを決めたら、費用や機能は販売元のサービスページで確認できます。KANBEI SIGN なら、契約書周りの業務効率化に【KANBEI SIGN】のフリープラン(保管・管理まで)から、使い勝手を見ることもできます。(リンク先は、補助金の活用案内が中心の販売元のページです。通常のプランの料金・機能は、前述の販売元のサービスページで確認できます)

よくある質問

無料のプランだけで電子契約はできる?

KANBEI SIGN のフリープランは、契約書の保管・管理までで、契約の締結はスターター以上です(2026年10月24日確認)。他のサービスは、無料プランの範囲を各社の料金ページで確認してください。

補助金は使える?

IT導入補助金の対象かどうか、公募の時期は、事務局のサイトと販売元に確認してください。この記事では、補助金を使う前提のプランはすすめていません。

相手方のサービスと自社のサービスが違ってもいい?

相手方が指定するサービスで契約することはあります。その場合も、自社にデータを保存できるか、保存の要件を満たせるかを確認してから承諾しましょう。

まとめ

  • 費用は、月額・初期費用・件数や人数の上限・超えたときの料金の4つを見る
  • 年額を年間の契約件数で割ると、1件あたりの費用が分かる
  • 契約前に聞くのは、署名の方式・タイムスタンプ・二要素認証・保存と検索・解約後のデータの5つ
  • 答えはメールなどの文書で残し、承諾書にも使う
  • まず1社・1種類で試し、3か月ほどで見直す

法令や承諾書の作り方は 建設会社の電子契約の始め方 を、見積書から注文書までの流れは 法定福利費を見積書に入れる方法 を、労働条件通知書など雇用の書類は 労働条件通知書・雇用契約書の書き方 を読んでください。

出典