採用

高校生採用の進め方|建設会社の学校訪問から内定までの手順とルール

公開:2026年10月12日

「若手がほしいので高校生を採用したいが、何から始めればいいか分からない」「一度求人を出したが、応募がなかった」。高校生の採用は、中途採用とは進め方がまったく違います。

高卒採用には、国や都道府県・学校の間で決められたスケジュールとルールがあり、企業はその枠の中で動く必要があります。求人サイトに載せて応募を待つのではなく、ハローワークに求人を出し、学校の先生を通じて生徒に知ってもらう仕組みです。逆に言えば、手順さえ押さえれば、知名度の低い小さな建設会社でも地元の高校とつながることができます。

この記事では、建設会社が高校生を採用するときの流れを、求人の準備から内定後のフォローまで順番に紹介します。

支援の現場から 高卒採用がうまくいっている建設会社には、共通点があります。進路指導の先生とふだんから連絡を取り合っていること、その高校での採用実績があること、ホームページをこまめに更新していること、そして会社案内が採用向けの資料として作られていることです。反対に、採用が続かない会社はこの逆で、先生との接点が少なく、ホームページも会社案内も何年も前のままになっていることが多いです。

結論:高卒採用は「1年がかりの段取り」と「先生との関係づくり」

先に要点をまとめます。

  • 高卒採用は、求人申込み・学校訪問・応募・選考の開始日が決まっている
  • 求人はハローワーク経由で出す。求人票はハローワークの確認を受けたものを使う
  • 生徒は先生と相談して応募先を決めることが多い。先生に会社を知ってもらうことが最初の関門
  • 応募の前に職場見学に来てもらえるかどうかが、応募につながる大きな分かれ目になる

高卒採用の年間スケジュール

令和9年3月に卒業する高校生(2026年度の就職活動)のスケジュールは次のとおりです。

時期 内容 企業がやること
6月1日〜 ハローワークで求人受付開始 高卒求人をハローワークに申し込む
7月1日〜 求人票の公開開始(学校訪問など) 確認を受けた求人票を持って学校を訪問する
夏休み前後 応募前の職場見学 生徒・先生の見学を受け入れる
9月5日〜 学校から応募書類が届く(推薦) 書類が届いたら進路指導の先生に連絡し、面接日を調整する
9月16日〜 面接などの選考・採用内定の開始 面接・選考を行い、結果を学校に連絡する
卒業後 就業開始 入社

出典:北海道ハローワーク(ハローワーク釧路)「新規高卒者の採用を予定している企業のみなさま」(2026年10月12日確認)

9月16日より前に面接などの選考を行うことはできません。また、日程は毎年度決められるものなので、来年度以降の採用では必ず最新の日程を厚生労働省や管轄のハローワークで確認してください。

この表を見ると分かるとおり、9月に面接をするためには、春のうちから準備を始める必要があります。

手順1:4〜5月 求人票の中身を決める

高卒求人は、受付開始の6月1日に間に合うよう、春のうちに中身を決めておきます。

決めておくこと

項目 決めること ポイント
職種・人数 何の職種を何人採るか 「土木作業員」ではなく、どんな現場で何をするかが分かる書き方に
仕事内容 入社後の仕事 1年目に何をするか、どんな資格が取れるかを書く
給与・手当 初任給と手当 手当は金額まで書く
休日・時間 年間休日・始業終業 雨の日の扱いや、朝の集合時間も分かるように
選考方法 面接のみ/作文あり など 求人票に書いた方法以外の選考はできない

選考方法は特に注意が必要です。求人票に「面接のみ」と書いた場合は、書類選考をすることはできません。適性検査や作文を行う場合は、あらかじめ求人票に書いておきます。

高校生は求人票を見て、先生や保護者と一緒に応募先を考えます。求人票の書き方そのものは中途採用と共通する部分が多いので、建設業の求人原稿の書き方もあわせて参考にしてください。

求人票以外に用意しておきたいもの

  • 会社紹介のA4一枚(写真入り):先生が生徒に説明するときに使える資料
  • 若手社員の声:できればその高校の卒業生。「先輩がいる」は生徒にとって大きな安心材料です
  • 職場見学の受け入れ可能日:夏休み中の候補日をいくつか決めておく

手順2:6月 ハローワークに求人を申し込む

高卒求人は、ハローワークに申し込みます。求人者マイページからのオンライン申込みのほか、窓口でも受け付けています。申込みの方法や必要書類は管轄のハローワークによって案内が異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。

ハローワークの確認を受けた求人票を使うことになっており、確認印のない求人票は学校に出さないよう案内されています。また、受付後の求人の取り消しや募集人数の削減は原則として認められないなど、一般の求人とは違う決まりがあります。人数は無理のない範囲で決めましょう。

手順3:7月 学校を訪問する

7月1日からは、求人票を持って学校を訪問できます。訪問するときは、事前に進路指導の先生に連絡し、日時を決めてから伺います。

訪問先の選び方

  • これまでに採用実績がある高校
  • 社員の出身校
  • 通勤できる範囲にある高校(工業高校・農業高校の土木科などに限らず、普通科も含めて)

訪問で伝えること

訪問の時間は10〜15分程度のことが多いです。長い会社説明より、先生が生徒に伝えやすい情報を短く渡すことを意識します。

例:学校訪問で伝えること 「今年は道路工事のスタッフを1名募集しています。入社1年目は先輩について、運搬や測量の補助から始めます」 「資格の取得費用は会社が負担しています。3年目までに車両系建設機械の資格を取る社員が多いです」 「夏休み中に職場見学を受け付けています。候補日はこちらです」

先生が知りたいのは、「この会社に生徒を送り出して大丈夫か」です。教え方、休日、安全への取り組み、先輩社員の様子など、安心して紹介できる材料を伝えましょう。

支援の現場から 学校訪問で先生に喜ばれるのは、その高校の卒業生の近況や活躍を伝えることです。「〇年前に入社した△△さんは、今は現場で後輩に教える立場になっています」といった話は、先生にとって何よりうれしい知らせであり、次の生徒を紹介するときの安心材料にもなります。 また、訪問のアポイントは必ず事前に取ること、資料は必要な分だけを持っていくことも大切です。先生は忙しいので、大量のパンフレットより、要点がまとまった資料のほうが喜ばれます。

手順4:夏休み 職場見学を受け入れる

高校生は、応募の前に職場見学をして応募先を決めることが多くあります。見学に来てもらえれば応募の可能性はぐっと上がるので、受け入れの準備を整えておきましょう。

見学の流れ(90分の例)

時間 内容
15分 会社の紹介(社長または担当者)
45分 現場や作業場の見学。重機や道具に触れられるとよい
20分 若手社員と話す時間(担当者は席を外す)
10分 質問・まとめ

若手社員と生徒だけで話す時間は、特におすすめです。社長の前では聞きにくい「休みは本当に取れるか」「先輩は怖くないか」といった本音の質問ができます。

職場見学は選考の場ではない

職場見学やインターンシップは採用選考の場ではありません。見学の際に書類の提出を求めたり、生徒本人の情報を聞き出したりしないよう、ハローワークも呼びかけています(ハローワーク町田「新規学校卒業者の求人申込みをお考えの事業主様へ」、2026年10月12日確認)。見学は、あくまで会社を知ってもらう場として進めましょう。

手順5:9月 応募書類の受け取りと面接

9月5日以降、学校から応募書類(統一応募用紙の履歴書・調査書)が届きます。書類が届いたら、すぐに進路指導の先生に連絡し、9月16日以降の面接日を決めます。

「一人一社」の慣行を知っておく

高卒採用では、多くの地域で、選考開始から一定期間は一人の生徒が一社だけに応募する「一人一社制」という慣行があります。これは法律ではなく、都道府県ごとの申し合わせで決められているもので、近年は複数社への応募を認めるなど見直す地域も出ています。

一人一社制のもとでは、応募してくる生徒はその会社を第一志望として選んでいることになります。その分、会社側にも誠実な対応が求められます。自社のある都道府県の取り扱いは、管轄のハローワークや労働局で確認してください。

面接で気をつけること

  • 求人票に書いた選考方法の通りに行う
  • 家族の職業や本籍、住まいの状況など、本人の適性・能力に関係のないことは聞かない
  • 高校生は面接に慣れていないので、緊張をほぐす声かけから始める

聞いてよい質問・聞いてはいけない質問は、中途採用と同じ考え方です。高校生の場合は、面接の内容が学校に報告されることもあります。不適切な質問をすると、その高校との関係にも影響しかねません。

結果は早めに学校へ

選考の結果は、できるだけ早く学校に連絡します。一人一社制のもとでは、結果が出るまで生徒は次の応募に進めません。連絡が遅れると、生徒にも学校にも負担をかけることになります。内定者が決まったら、ハローワークへの採用内定の報告も忘れずに行いましょう。

手順6:内定から入社まで 半年間のフォロー

高卒採用では、9月下旬に内定を出してから4月の入社まで、半年ほど期間があります。この期間に何もしないと、生徒は「本当にやっていけるだろうか」と不安になります。

時期 フォローの例
内定直後 社長から手書きの一言を添えた内定通知を送る
秋〜冬 内定者向けの会社見学会。配属予定の先輩と顔合わせ
冬 入社前に取っておくとよい資格(運転免許など)の案内
3月 入社式・最初の1週間の予定を伝える

保護者が入社に不安を持っていることもあります。会社見学会に保護者も招いたり、入社前に会社の取り組みをまとめた資料を渡したりすると安心につながります。

入社後の定着については、若手職人が辞める5つの理由と、辞めない建設会社がやっていることで紹介している「できることリスト」や相談役の仕組みが、高卒の新入社員にもそのまま使えます。

支援の現場から 内定から入社までのフォローとして支援先で効果があったのは、保護者向けの説明会と、内定者向けの外部研修です。高校生の就職では、保護者の安心が本人の決断を大きく支えます。会社の取り組みを保護者に直接説明する場をつくることで、入社前の不安を減らせます。外部研修は、同じ立場の新社会人と一緒に学ぶ機会にもなり、入社への準備と意欲づけにつながります。

初めて高卒採用をする会社がつまずきやすい点

つまずきやすい点 対策
求人の準備が7月以降になり、学校訪問が出遅れる 4〜5月に求人票の中身を決めておく
学校訪問が求人票を置いてくるだけになる 先生が生徒に説明しやすい資料と、見学の候補日を渡す
職場見学の受け入れ体制がない 若手社員と話す時間を含めた見学の流れを決めておく
選考方法を求人票と違う形で行ってしまう 求人票に書いた方法を面接担当者と共有する
内定から入社まで連絡しない 2〜3か月に1回は連絡や見学会の機会をつくる

採用にかかる費用が中途採用と比べてどうかを確かめたい場合は、採用コスト計算ツールで試算できます。

まとめ

  • 高卒採用は、求人申込み(6月)・学校訪問(7月)・応募書類の受付(9月5日)・選考開始(9月16日)の日程が決まっている。日程は毎年度確認する
  • 求人はハローワークに申し込み、確認を受けた求人票を使う。選考方法は求人票に書いた通りに行う
  • 学校訪問では、先生が生徒に説明しやすい情報と、職場見学の候補日を渡す
  • 職場見学は選考の場ではない。若手社員と話せる時間をつくると応募につながりやすい
  • 一人一社制の取り扱いは都道府県ごとに確認し、結果の連絡は早めに
  • 内定から入社までの半年間も、こまめに連絡してフォローする

高卒採用は、1年目に結果が出なくても、学校との関係が積み重なることで少しずつ応募が増えていく採用方法です。まずは来年の6月に向けて、求人票の中身と会社紹介のA4一枚を準備するところから始めてみてください。