採用

建設業の面接で聞くべき質問・聞いてはいけない質問|質問例つきで解説

公開:2026年10月12日

「面接で何を聞けばいいのか分からず、結局いつも雑談で終わってしまう」「採用したのに、入ってみたら思っていた人と違った」。小さな建設会社では、面接の進め方を誰かに教わる機会がほとんどありません。

面接でやるべきことは、大きく分けて2つです。1つは、この人が自社の現場でやっていけるかを確かめること。もう1つは、応募者に会社のありのままを伝えて、入社後のギャップを減らすことです。そしてもう1つ、知っておかなければならないのが「聞いてはいけない質問」です。悪気なく聞いた一言が、就職差別につながるおそれがあります。

この記事では、建設会社の面接で聞くべき質問と聞いてはいけない質問を、質問例つきで紹介します。

支援の現場から 建設会社の面接で多いのは、会社の説明やPRがそのまま面接になってしまうケースです。社長や担当者がずっと話していて、応募者に話を聞く時間がほとんどない。応募者のほうも話す隙がなく、面接というより打ち合わせに近い雰囲気で終わってしまいます。面接の進め方を教わる機会がないため、悪気なくこうなっている会社がほとんどです。

結論:面接は「確かめる」「伝える」「聞かない」の3つ

先に全体像をまとめます。

やること 目的 具体例
確かめる 自社の現場でやっていけるかを見る 体力・朝の時間・通勤・続ける理由
伝える 入社後のギャップを減らす 1日の流れ・休日・雨の日・大変なところ
聞かない 就職差別を防ぐ 家族・本籍・住まい・思想信条など

面接の時間を30分とすると、確かめる質問に15分、会社の説明と応募者からの質問に15分、くらいの配分がおすすめです。

聞くべき質問:ミスマッチを防ぐ7つの質問

建設業の面接で特に確かめておきたいのは、「現場の働き方に合うか」と「続けられる理由があるか」です。経験者か未経験者かで聞き方は変わりますが、基本は共通です。

1. 応募のきっかけ

  • 「数ある仕事の中で、建設の仕事を選んだのはなぜですか」
  • 「うちの会社を知ったきっかけは何でしたか」

志望動機を立派に話せるかどうかは、あまり重要ではありません。見たいのは「建設の仕事について、どんなイメージを持っているか」です。イメージが実態とずれていれば、この場で補足できます。

2. 前の仕事を辞めた理由(転職者の場合)

  • 「前の職場で、続けるのが難しいと感じたのはどんなところでしたか」

責める聞き方ではなく、「同じ理由でうちでも辞めることにならないか」を確かめるための質問です。たとえば「休みが少なかった」が理由なら、自社の休日の実態を具体的に伝えて、本人が納得できるかを確認します。

3. 朝の時間と通勤

  • 「現場によっては朝7時に会社集合になります。通勤方法と、かかる時間を教えてください」
  • 「現場までは社用車で乗り合わせになることが多いです。問題はありますか」

建設業で入社後のギャップになりやすいのが、朝の早さと移動です。「大丈夫です」で終わらせず、具体的な時刻や距離を出して確認します。通勤手段(車・公共交通機関など)を聞くのは、仕事に関係するので問題ありません。

4. 体力・屋外作業への向き合い方

  • 「夏の暑い日や冬の寒い日の屋外作業もあります。これまでに体を動かす仕事やスポーツの経験はありますか」

「体力に自信がありますか」と聞くと、ほぼ全員が「あります」と答えます。過去の経験を聞いたほうが、実態に近い答えが返ってきます。なお、健康状態や病歴を広く聞くことは、仕事に必要な範囲を超えると問題になるおそれがあります(後述)。

5. 資格・免許

  • 「お持ちの資格や免許を教えてください。普通自動車免許はAT限定ですか」
  • 「入社後に取りたい資格はありますか」

運転免許は現場への移動に直結するので、必ず確認しておきたい項目です。資格取得の支援制度がある会社は、このタイミングで説明すると応募者の安心材料になります。

6. 教わり方・働き方の好み

  • 「仕事を覚えるとき、見て覚えるのと、説明を聞いてから手を動かすのと、どちらが得意ですか」
  • 「これまでに、注意されたときに助かった言われ方はありますか」

正解のない質問ですが、入社後の教え方を考えるヒントになります。配属先の職長に共有しておくと、最初の1か月の育て方が変わります。

7. 何年後にどうなっていたいか

  • 「3年後、どんな仕事ができるようになっていたいですか」

答えに具体性がなくてもかまいません。この質問のあとに、自社で3年働いたらどんな段階になれるのか(等級・資格・給与の目安)を伝えることが大切です。将来の道筋を見せられる会社は、内定辞退も早期離職も減りやすくなります。

支援の現場から 面接で確かめておきたいのが、口頭で聞いた志望動機が履歴書に書かれた内容と合っているかどうかです。最近はAIを使って志望動機を書く人が増え、文章がきれいすぎて本人の熱意が伝わりにくい履歴書も目立ちます。面接で「履歴書に書いてくれたこの部分を、もう少し詳しく教えてください」と自分の言葉で話してもらうと、本当の動機が見えてきます。 あわせて、「うちのホームページやSNSで、印象に残ったものはありますか」と聞くのもおすすめです。会社のことをきちんと調べてから応募しているかが分かります。

聞いてはいけない質問:就職差別につながるおそれのある事項

厚生労働省は、採用選考は応募者の適性と能力に関係のある事項だけで判断すべきだとして、「採用選考時に配慮すべき事項」を示しています。応募書類に書かせたり、面接で尋ねたりして把握することは、就職差別につながるおそれがあるとされています。

分類 配慮すべき事項
本人に責任のない事項 本籍・出生地/家族のこと(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)/住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)/生活環境・家庭環境
本来自由であるべき事項(思想・信条) 宗教/支持政党/人生観・生活信条/尊敬する人物/思想/労働組合・学生運動などの社会運動/購読新聞・雑誌・愛読書
採用選考の方法 身元調査などの実施/適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断

出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(2026年10月12日確認)

建設会社の面接でついやってしまいがちな質問

一覧を見ると「そんなことは聞かない」と思うかもしれません。しかし実際の面接では、場をなごませるつもりの雑談で聞いてしまうことが多いのです。

ついやってしまう質問 問題になる理由 代わりに聞くなら
「ご両親は何の仕事をしているの?」 家族の職業は本人に責任のない事項 聞かない。本人の経験を聞く
「実家はどこ?持ち家?」 本籍・出生地・住宅状況に当たる 「通勤方法と時間を教えてください」
「長男だから、いずれ家を継ぐの?」 家族の続柄・家庭環境に当たる 「長く働くうえで気になることはありますか」
「尊敬する人は誰?」 尊敬する人物は思想・信条に関わる 「仕事で影響を受けた経験はありますか」
「普段どんな新聞や本を読む?」 購読新聞・愛読書に当たる 「最近、仕事に役立ちそうだと思って調べたことは?」
「支持している政党は?」「宗教は?」 思想・信条に関わる 聞かない

「代わりに聞くなら」の列のように、聞きたいことの本当の目的(通勤できるか、長く働けるか)に立ち返れば、問題のない質問に言い換えられます。

性別によって質問を変えない

女性の応募者にだけ「結婚の予定は」「子どもができたらどうするの」と聞くことも避けましょう。男女雇用機会均等法では、募集・採用で性別を理由とした差別的な取扱いが禁止されています。厚生労働省も、採用面接で「子どもが生まれたらどうするのか」と聞かれたという相談に対して、女性に男性には聞かない質問をするなど、男女で異なる採用選考をすることは均等法に違反すると答えています(厚生労働省「均等法Q&A」、2026年10月12日確認)。建設業は女性の採用が増えている業界だからこそ、男女で同じ質問をすることを面接官全員の約束にしておくと安心です。

「聞かれたから話した」も記録に残さない

応募者が自分から家族のことを話し出すこともあります。その場合も、深掘りしない、評価に使わない、面接メモに残さないことが基本です。

なお、採用選考に関するルールや考え方は見直されることがあります。応募書類の様式を作るときや面接官を新しく決めるときは、厚生労働省や都道府県労働局の最新の案内を確認してください。

面接の進め方:30分の流れ

質問を準備しても、その場で思いつきで進めると聞き漏れが出ます。次のような流れを決めておくと、面接官が変わっても同じ質の面接ができます。

時間 やること ポイント
0〜3分 あいさつ・面接の流れの説明 「今日は30分ほどで、最後に質問の時間もあります」と伝える
3〜18分 聞くべき質問(7つから選ぶ) 1つの答えに「たとえば?」で1回だけ深掘りする
18〜25分 会社の説明 1日の流れ・休日・雨の日・大変なところを正直に
25〜30分 応募者からの質問・今後の連絡 合否の連絡時期と方法を必ず伝える

「大変なところ」を自分から話す

会社の説明では、良いところだけでなく大変なところも自分から伝えます。

例:会社説明で伝えること 「夏場は朝が早く、6時半集合の現場もあります。その分、15時には作業を切り上げるようにしています」 「雨の日は作業場で資材の準備をすることが多いです。休みになる日は、前日の夕方までに連絡します」 「最初の3か月は、運搬や片付けなど地味な仕事が中心です。そのあと少しずつ作業を任せていきます」

入社前に大変なところを知っている人は、入社後に同じ場面に出会っても「聞いていた通りだ」と受け止められます。若手が辞める理由と防ぎ方は若手職人が辞める5つの理由と、辞めない建設会社がやっていることでも紹介しています。

評価は面接の直後に、同じ項目で

面接が終わったら、記憶が新しいうちに評価をつけます。項目は事前に決めておき、面接官全員が同じシートを使います。

評価項目 見るポイント
働き方の理解 朝の時間・屋外作業・休日について、納得したうえで応募しているか
続ける理由 応募のきっかけや将来の希望に、本人なりの理由があるか
話の聞き方 説明を聞いて、分からないことを質問できるか
通勤・免許 現場への移動に問題がないか

「感じが良かった」「元気だった」だけで決めると、面接官の好みで合否が分かれます。項目を決めておくことで、社長と現場のリーダーで意見が分かれたときも話し合いやすくなります。

支援の現場から 支援先で効果があったのは、面接に合わせて実際の現場を見てもらうことです。そしてその場に社長も同席します。仕事の様子を自分の目で確かめられるうえ、社長と直接話せることで、応募者は会社の雰囲気や考え方をつかみやすくなります。

面接の前にやっておきたいこと

  • 求人原稿と面接で話す内容をそろえる:求人に書いた休日や給与と、面接での説明が違うと信頼を失います。求人原稿の見直し方は建設業の求人原稿の書き方を参考にしてください
  • 面接官を決めて、聞いてはいけない質問を共有する:社長だけでなく、同席する職長や先輩にも一覧を見せておきます
  • 応募書類の様式を確認する:家族構成や本籍を書く欄がある古い様式を使っていないか確かめます

質問と評価をそろえるなら:建設業向けの面接シート(Excel)

この記事の考え方をもとに、質問集・当日用の面接シート・評価シートをひとつにまとめた Excel を用意しました。質問集は27問で、見るポイントと深掘りの一言がついています。評価シートは面接官3人まで使え、点数を入れると合計点と判定の目安が自動で出ます。聞いてはいけない質問の一覧も入っているので、同席する職長や先輩との読み合わせにも使えます。

※ 運営会社の商品です。当サイトを運営するオフィスカナン株式会社が販売しています。

まとめ

  • 面接は「確かめる」「伝える」「聞かない」の3つを意識する
  • 朝の時間・通勤・体力・免許・続ける理由など、現場の働き方に合うかを具体的に確かめる
  • 家族・本籍・住まい・思想信条などは、雑談のつもりでも聞かない
  • 女性にだけ結婚や出産の予定を聞かない。男女で同じ質問をする
  • 会社の大変なところは自分から話し、評価は決めた項目で面接直後につける

面接は、会社が応募者を選ぶ場であると同時に、応募者が会社を選ぶ場でもあります。まずは次の面接で使う質問を7つの中から5つ選び、紙1枚にまとめるところから始めてみてください。