労務・制度

建設会社の年末調整2026|日雇い・途中入退社・一人親方の扱いと進め方

公開:2026年10月18日

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この記事の結論

  • 日雇いの人は年末調整をしない(本人が確定申告をする)
  • 年の途中で入社した人は、前の会社の源泉徴収票を集めて合算する
  • 一人親方を外注費で払っているなら、年末調整の対象ではない

公式情報の確認日:2026年10月18日

目次(8項目)
  1. 年末調整とは
  2. 2026年分は基礎控除などの改正がある
  3. 年末調整の流れと期限
  4. 従業員に書いてもらう書類
  5. 建設会社で迷うケース
  6. よくあるミスと、あとから直すには
  7. 手計算・Excelで続けるか、給与ソフトを使うか
  8. まとめとチェックリスト

「年末調整は毎年あわてて終わらせている」「現場にいる職人から書類が戻ってこない」。建設会社で起きやすい悩みです。

結論から言うと、建設会社が迷いやすいのは次の3点です。

  • 日雇いの人は、年末調整をしない(本人が確定申告をする)
  • 年の途中で入社した人は、前の会社の源泉徴収票を集めて合算する。集められないと年末調整はできない
  • 一人親方は、給与ではなく外注費で払っているなら、年末調整の対象ではない

この記事では、この3点と、年末調整の流れ・書類・期限を整理します。記事中の法令・期限・料金は、特に書いていない限り2026年10月18日に国税庁などの公式情報で確認したものです。税の個別の判断は、税務署や顧問の税理士・社労士に確認してください。

この記事で分かること

  • 年末調整をする人・しない人の見分け方
  • 12月から2027年2月までの流れと期限
  • 従業員に書いてもらう書類
  • 日雇い・途中入社・途中退職・一人親方・乙欄の扱い
  • 手計算・Excelで続けるか、給与ソフトを使うかの目安

年末調整とは

毎月の給与から引いている源泉所得税は、1年分をまとめると、本人が1年間に納めるべき税額とずれるのが普通です。このずれを年末に精算する手続きが年末調整です(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、2026年10月18日確認)。多く引いていれば返し、足りなければ12月の給与から追加で引きます。

年末調整の対象かどうかを、扶養控除等申告書を出した人は対象、出していない乙欄の人と日雇いの丙欄の人は対象外、で示した図

年末調整の対象は、原則として、会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出している人全員です。次の人は対象になりません(同手引、国税庁 No.2665)。

  • 1年間に払う給与の総額が2,000万円を超える人
  • 災害で源泉所得税の徴収猶予や還付を受けた人
  • 2か所以上から給与をもらっていて、他の会社に扶養控除等申告書を出している人、または年末調整までに出していない人(乙欄の人)
  • 年の途中で退職した人(対象になる退職は後述)
  • 非居住者
  • 継続して同じ会社に雇われない日雇いの人など(日額表の丙欄の人)

対象にならない人は、本人が確定申告をして精算します。

2026年分は基礎控除などの改正がある

2026年分の年末調整は、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族などの所得要件の改正を反映します。改正後の様式は2026年12月1日以後の年末調整で使います(国税庁 A2-4)。金額や給与計算への影響は、建設会社の給与計算の基本の「年末調整」の節にまとめています。この記事では繰り返しません。

年末調整の流れと期限

年末調整は、書類を配って集め、確認して計算し、12月の給与で精算し、納付する、という順に進めます。

年末調整の進め方を、1 申告書を配る、2 集めて確認する、3 年税額を計算する、4 12月の給与で精算、5 納付と源泉徴収票、の5段で示した図

時期 やること 出典
11月ごろ(目安) 申告書を配る。書類の様式は後述 当サイトの目安
年内の最後の給与を受け取る日の前日まで 従業員が申告書を会社に出す(期限は従業員側) 国税庁 A2-4
12月(その年最後の給与を払うとき) 年税額を計算し、過不足を精算する 国税庁 年末調整のしかた
2027年1月12日(原則は1月10日) 12月分の源泉所得税を納める(納期の特例の承認を受けている会社は1月20日) 国税庁 No.2505
2027年1月末日 年末調整のやり直しができる期限。従業員に源泉徴収票を渡す時期の目安 国税庁 年末調整のしかた
2027年2月1日(月) 法定調書を税務署に、給与支払報告書を市区町村に出す 国税庁 法定調書の手引

1月10日は日曜日、11日は成人の日のため、納付期限は1月12日(火)です(納付期限が休日などに当たるときは、休日明けの日が期限。国税庁 No.2505、2026年10月18日確認)。

年末調整を12月の給与で行ったときの過不足の扱いは、次のとおりです(国税庁 No.2675)。

  • 多く引いていた分は、12月分として納める源泉所得税から差し引いて本人に返す。返しきれないときは、翌月以降の納付額から順に差し引く
  • 足りなかった分は、12月の給与から引く。引くと手取りがその年の月平均の70%未満になる人は、税務署の承認を受けて翌年1月と2月に分けて引くこともできる

納める税額が0円になったときも、所得税徴収高計算書(納付書)は税務署に出します(同手引)。

2027年1月からは、市区町村に給与支払報告書を出せば、税務署に給与所得の源泉徴収票を出したものとみなされます。税務署提出用の源泉徴収票を別に作る必要はなくなります。従業員に渡す源泉徴収票は、これまでどおり必要です(国税庁 法定調書の手引)。

従業員に書いてもらう書類

従業員が書く主な書類は、次の3つです(令和8年分の名前。国税庁 年末調整のしかた)。

書類 何のためか
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 扶養している家族や、本人が障害者などに当たるかを会社に伝える。年末調整の対象になる人はこの申告書を出している人
給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書 基礎控除(本人の所得の見込み)、配偶者の控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除の適用を受けるための申告
給与所得者の保険料控除申告書 生命保険料・地震保険料などの控除を受けるための申告。証明書を添える

住宅ローン控除を受ける人は、このほかに住宅借入金等特別控除申告書などが必要です。

書き方の注意は、国税庁が従業員向けに「年末調整を受ける際の注意事項」と各申告書の記載例を出しています(上の手引のページから入手できます)。従業員に渡すときに、このページのリンクを一緒に伝えると問い合わせが減ります。

なお、令和9年分の扶養控除等申告書の記載例も、同じ手引のページに載っています。来年分の申告書を配る準備にも使えます。

建設会社で迷うケース

ケースごとに見ていきます。最初に早見表です。

この人はどうする?早見表

人 年末調整 補足
日雇いの人(日額表の丙欄) しない 本人が確定申告
継続して雇う日給の職人で、扶養控除等申告書を出している する 日給だから日雇い、ではない
年の途中で入社して年末まで勤務した人 する 前の会社の源泉徴収票が要る
年の途中で退職した人 一部はする(下の表) 対象になる退職は下の表
扶養控除等申告書を出していない人(乙欄) しない 出すよう案内する
一人親方・外注先(外注費で払っている) しない 給与ではないため

日雇いの人は年末調整をするか

日雇いの人は、年末調整をしません。国税庁の手引では、年末調整の対象にならない人として「継続して同一の雇用主に雇用されないいわゆる日雇労働者など(日額表の丙欄適用者)」が挙げられています(国税庁 年末調整のしかた)。本人が自分で確定申告をします。

ここでいう日雇賃金とは、日々雇い入れられる人の、働いた日や時間で算定され、働いた日ごとに払われる給与のことです。ただし、1か所の勤務先から継続して2か月を超えて給与を払った場合、その2か月を超える部分は日雇賃金に含まれません。また、パートやアルバイトに日給や時間給で払う場合も、あらかじめ雇用契約の期間が2か月以内と決められていれば丙欄を使います(国税庁 No.2511、2026年10月18日確認)。

つまり、日給で払っていても、継続して雇っている職人は日雇いではありません。扶養控除等申告書を出していれば、日額表の甲欄(月給なら月額表の甲欄)で源泉徴収し、年末調整の対象になります。支払い方と雇い方で扱いが変わるので、「日給=日雇い」と決めつけないことが大事です。

年の途中で入社した人

年の途中で入社し、年末まで勤務している人は年末調整の対象です。このとき、入社前にその年中に他の会社から給与をもらっていた人は、前の会社の給与を含めて年末調整をします。前の会社の給与額と源泉徴収税額、社会保険料は、前の会社が出した源泉徴収票で確認します。早めに本人に提出を求めてください。確認ができないときは、年末調整はできません。その人は確定申告で精算します(国税庁 No.2674、No.2668)。

基礎控除や扶養控除は、たとえば4月に入社した人でも、月割りにせず全額が認められます(No.2674)。

年の途中で辞めた人

年の途中で辞めた人は、原則として年末調整の対象外です。ただし、次のどれかに当たる人は対象になり、その場合は退職のときに年末調整をします(国税庁 No.2665、年末調整のしかた)。

対象になる退職
死亡による退職
著しい心身の障害で退職し、その年のうちに再就職できないと見込まれる人
12月中に支給期の来る給与を受け取ったあとの退職
海外支店等への転勤などで非居住者となった人
パート等で、その年の給与の総額が136万円以下の人が退職した場合(退職後に他の勤務先から給与をもらう見込みのある人を除く)

これ以外で、たとえば10月末に辞めた人には、年末調整はしません。本人が確定申告をします。会社は源泉徴収票を渡し、確定申告が必要なことを伝えます。

2026年は、基礎控除の引上げなどが12月1日以後の年末調整から反映されます。11月30日以前に年末調整をする人には、改正後の内容は反映されません(国税庁 A2-4)。

一人親方・外注先

年末調整は、役員や使用人に払う給与の精算です(国税庁 No.2662)。一人親方に、給与ではなく外注費(請負代金)として払っているなら、年末調整の対象ではありません。一人親方は自分で確定申告をします。

注意したいのは、契約書の名前は外注でも、実際の働き方が従業員と変わらない場合です。雇用か請負かは、契約書の名前だけでは決まらないことがあります。この記事では判断基準の詳細までは扱いません。迷うときは、税務署か顧問の税理士・社労士に確認してください。

扶養控除等申告書を出していない人(乙欄)

1か所から給与をもらっている人が、年末調整までに扶養控除等申告書を出していない場合、国税庁は「提出するよう指導してください」としています(国税庁 年末調整のしかた)。出さないままだと乙欄で源泉徴収され、年末調整の対象になりません。本人が確定申告をします。

2か所以上で働いている人が、他の会社に扶養控除等申告書を出している場合も、自社では年末調整をしません。

書類が戻ってこないときの回収の工夫

現場に出ている人は、書類が戻りにくいことがあります。一般的な工夫を挙げます。

  • 提出の締切を、紙に大きく書いて渡す。「いつまでに、誰に出すか」を1行で伝える
  • 去年の内容を印字して渡し、変わった所だけ直してもらう
  • 朝礼や、事務所に来る日に渡して、その場で書いてもらう
  • 書類を配る前に、家族の人数や住所に変わりがあるかを口頭で聞いておく
  • Web で回収できるソフトを使う(後述)

よくあるミスと、あとから直すには

  • 申告書の書き忘れ・記入漏れ。受け取るときに会社が確認する
  • 保険料の証明書が間に合わない。国民年金保険料や生命保険料などは、翌年1月末日までに証明書を出してもらう条件で先に年末調整をする方法がある。期日までに出なければ、その分を除いて計算し直し、不足額を徴収する
  • 年末調整のあとに、家族の人数が変わった、保険料を払っていたと分かった。源泉徴収票を渡す翌年1月末日までなら、やり直せる
  • 翌年に給与を改定して、さかのぼって払うことになった。その差額は、改定した年の所得になるので、本年分のやり直しは不要

出典は国税庁「年末調整のしかた」(2026年10月18日確認)です。提出が遅れたときの個別の扱いは、所轄の税務署に確認してください。

手計算・Excelで続けるか、給与ソフトを使うか

年末調整をソフトで行うかどうかに、公的な基準はありません。次の表は、当サイトの目安です。

見るところ 手計算・Excelでも回りやすい ソフトを検討したい
従業員の数 数人 10人を超え、年々増えている
給与の形 月給だけ 月給・日給・時給が混ざっている
書類の回収 全員が事務所に来る 現場から戻らない人が毎年いる
途中入退社 ほぼない 毎年数人いる
担当者 複数人で分担 1人だけで、他の人は手順を知らない

「年末調整チェック表」など、国税庁が出している無料の資料もあります(年末調整がよくわかるページ)。まずはこれで抜け漏れを確かめるのも一つの方法です。

従業員20名未満の会社は、ソフトを無料で試せる

給与ソフトの例として、弥生株式会社のクラウド給与ソフト「弥生給与 Next」を紹介します。機能・料金は2026年10月18日に公式サイトで確認したものです(弥生給与 Next、料金)。

  • 年末調整の控除申告書の Web 配布・回収は、エントリーライト(9,000円/年、税抜)から使える
  • 年末調整の自動計算と法定調書の自動作成は、ベーシックライト(36,000円/年、税抜)以上
  • 給与明細の作成は、どのプランも人数に関係なく追加料金なし。Web 明細・Web 年調などを無料で使えるのは、プランにより3名まで(ベーシックプラスは5名まで)。超えた分は、1名あたり月200円(税抜)がかかる
  • エントリープランでは、源泉徴収票の Web 配信は使えない

無料体験の対象は、従業員20名未満の事業者です。期間は最大2か月で、ベーシックプラス相当の機能を試せます(電話サポートなどは除く)。体験が終わると、データは見るだけになります。体験中に、無料の人数を超えて追加料金のかかる機能を使うと、有料プランに変えた月から追加料金がかかります。

日給・時給の人が混ざっている、現場ごとの手当がある、といった自社の給与の形を設定できるかを、年末調整の前に確かめておくと安心です。申し込みは弥生給与 Nextの公式サイトからできます。

20名以上の会社は無料体験の対象外です。料金ページで人数に合わせた費用を確かめ、導入前に問い合わせてください。

日雇いの職人に手伝いを頼むときの考え方は日雇いの職人に手伝いを頼むときに、月給制への切り替えは日給月給制から月給制に変える手順にまとめています。

勤怠の集計から給与までをつなげたい会社は、建設業の時間外労働の上限規制と勤怠管理も参考にしてください。

まとめとチェックリスト

  • 年末調整は、扶養控除等申告書を出している人が対象。日雇い(丙欄)・乙欄の人・年の途中で辞めた人(一部を除く)は対象外で、本人が確定申告をする
  • 日給で払っていても、継続して雇っている職人は日雇いではない。甲欄で源泉徴収し、年末調整の対象になる
  • 年の途中で入社した人は、前の会社の源泉徴収票を集める。集められないと年末調整はできない
  • 一人親方に外注費で払っているなら、年末調整の対象ではない
  • 2026年分の改正は2026年12月1日以後の年末調整から反映される
  • 期限:12月の給与で精算、2027年1月12日(原則は1月10日。納期の特例は1月20日)に納付、2027年2月1日に法定調書・給与支払報告書

印刷して使えるチェックリストです。

  • 従業員の一覧で、全員の「対象・対象外」を決めた
  • 日雇いの人、乙欄の人、途中退職の人を分けた
  • 申告書を配り、締切日を伝えた
  • 途中入社の人から前の会社の源泉徴収票を受け取った
  • 申告書の内容・添付書類を確認した
  • 12月の給与で過不足を精算した
  • 納付書を作り、期限までに納めた(納付額が0円でも書類は出す)
  • 源泉徴収票を従業員に渡し、給与支払報告書を出した